後悔のない選択
昨日、人生で初めての行いをした。
そこまで大それたことでもないし、胸を張って言う事でもないかもしれない。
だからこそ、逆説的に捉えると、何故、今まで〝その行い〟をしなかったのかと思いたいが、答えがわからないので深く考えないでおく。
さて、本題の〝その行い〟だが、盲目の方を駅の改札口の駅員さんの所まで案内した。
ただのそれだけである。
たったそれだけのことを人生生涯において、したことがなかったのである。
初めは前を通り過ぎた。
もちろん、僕以外にも人はたくさんいたわけだがみんなは見て見ぬ振りをしていた。
その中に自分が居たのだが、ふと、体が止まった。
『このまま通り過ぎて良いのか?』
疑問が浮かんだ。
その瞬間には後ろを振り向き、その人の手を取り
「どこに行きたいですか?」
口が動いていた。
先に記述したが、生涯において初めての行動でどう対処すれば良いのかわからなかった。
「駅に.....」
そう言われて切符が必要なのだと勝手に勘違いしてしまった僕は切符売り場に案内しようとしたら
「改札の駅員さんのとこに.....」
と言われ、そりゃそうか。と思った。
駅構内で一人で歩くのは危ないから付き添うわけか。と。
そうして目標を定めた僕は点字ブロックを使い、手を持ってゆっくりと付き添いながら歩いた。
改札までは長く、人混みの多い構内だった。
さらにこれに目が見えないときたもんだ。
危険しかない。
そう思った。
意外と意識してない人が居るようで白杖に当たる人が多い。
多分、僕もそう意識してないわけで意外と逆の立場なら気づかないかもしれない、そう感じた。
点字ブロックの上に立ってる人も居て声をかけると退いてくれたが、腑に落ちない顔をしてる人も居た。
そうこうして改札の駅員さんの前に辿り着き、その方とはお別れをしたわけだ。
たったこれだけのことなのだが、何故今までしてこれなかったのかと後悔をしてる。
まだまだ自分が青いからなのだろうか、と考えさせられる出来事だった。